同志社大学人文科学研究所
第21期17研究(2022-24)(代表:王柳蘭)



コミュニティの維持をめぐる
つながりと境界の動態に関する比較研究
―人の移動・交渉・葛藤
多文化共生、ボーダーレス社会やフラット社会など、いっとき注目された言葉。実現するとなるといかにハードルが高いのか、理想と現実のギャップを知れば知るほど、課題の多さに手も足もでなくなってしまいそうになります。けれども、暮らしのなかには、一見、ボーダーによって引き裂かれた人と人が、なんとか工夫し、交渉しながら、困難を乗り越えて、新しい地平を切り開こうしている実践があります。あるいは、さまざまなボーダーによって囲いこまれているようにみえながら、足を踏み込んでみると生き生きとした日常を紡ぎあげている人の姿があります。本研究会では、越境、移動、境界、交渉をキーワードに、人文学の視点から、人と人が絡み合いながら生み出されるコミュニケーションの動態や空間がもたらす影響、つながりの多様性について、世界のさまざまな地域の事例を通して研究していきたいと思っています。
【タイトル】おだやかな革命
上映会+トーク <参加無料>
作品 『おだやかな革命』2018/日本/100分
監督:渡辺智史 山形県生まれ。「よみがえりのレシピ」(2010) 香港国際映画祭、ハワイ国際映画祭に招待上映。
【日時】 2023年11月13日(月)13:00から16:20
【場所】同志社大学 寒梅館クローバーホール
【目的】自然とつながり、地域の資源を活用することによって、地域社会が再生していく過程をみつめながら、資本主義の次の時代と言われる現在、改めて、豊かな生活とは何か、私たちがこれから求める生き方とは何かについて、映画から学び、考えるきっかけとしたい。また、それぞれの地方の特性にあった持続的でレジリエンスな社会を形成するために必要なことや課題について、様々な立場を超えて互いの知見を共有したい。
【登壇者】
渡辺智史監督、和田喜彦 (同志社大学経済学教授)、同志社学生
【プログラム】
13:00 - 13:05 開催の挨拶
13:05 - 14:45. 〈第1部〉 映画上映 100分
14:45 - 15:00. 休憩
15:00 - 16:20 〈第2部〉 トークイベント
上映会開催情報
(発表は延期となりました)
【日時】 9月12日(火) 午後1時30分~午後3時30分頃
【場所】オンライン
【発表者】城田 愛 (同志社大学嘱託研究員)
【タイトル】 フラとエイサーにみる「境界」のダイナミズム
【日時】 12月21日(木) 午後1時より
【場所】オンライン
【発表者】孫潔(佛教大学講師)
【タイトル】 「タイトル」中国集団体制時代における政策移民と言語空間
―Changhuaをめぐるアイデンティティに関する考察
【要旨】 一九五○年代から一九七○年代末に至るまで、中国においては国家政策に基づき、沿海部や内陸から辺境地帯へ、大規模な人口移動が実施された。この政策により余儀なく移住された人々を「政策移民」と呼ぶ。多くの政策移民は移住先の工場で働いていた。制約のある空間である工場では、異なる方言を話す移民と地元民がコミュニケーションをとる中で、それぞれの言語がピジン化し、新しい混成語である「Changhua」が生まれた。すなわち、各工場で「〇〇工場の言葉(〇〇Changhua)」と呼ばれる独自の言語が形成されてきた。「Changhua」は単なるコミュニケーションのツールだけではなく、移民たちの工場への連帯感や帰属意識、工場人としてのアイデンティティを表象する手段でもある。
本発表では、中国雲南省の一工場を事例として取り上げ、「Changhua」がいかに生成され、そして工場の企業改革、また移民の二世、三世が工場を離れることにともなって消失していったかのプロセスを考察する。さらに「Changhua」の工場内外での使用実態を分析し、言語を通してアイデンティティの形成と変容を明らかにしていきたい。
研究会開催情報
News 1
●「ミクロヒストリーから読む越境の動態」が刊行されました
(王柳蘭・山田孝子編著/国際書院/2023年3月)
移民・難民など越境者が受入国で生み出す社会的結びつきと相互の差異を通して、故郷と帰属をめぐる重層性の課題を追究し、「個をめぐる生の物語」をたどり「人間存在」を浮き彫りにする。
定価 (本体3,500円 + 税)/ISBN978-4-87791-320-5 C320/341頁
序章 王柳蘭*・山田孝子*
第1部
第1章 瀬戸徐映里奈、第2章 飛内悠子、第3章 山田孝子*
第2部
第4章 村橋勲*、第5章 加藤裕美*、第6章 下條尚志
第3部
第7章 中山大将*、第8章 藤本透子、第9章 王柳蘭*
*印は当該プロジェクトのメンバーです
詳細は出版社HPをご覧ください。

News 2
オンラインと対面で多くの方にご参加いただきました。
どうもありがとうございました。
● 同志社大学人文科学研究所第106回公開講演会
越境者をめぐる<故郷>と<境界>:個の物語から考える
日時 2023年7月8日(土)午後13:30 ~17:00(開場13:00)
会場 同志社大学良心館 RY407室(来場定員50名)またはZoom (約80名)
京都市営地下鉄烏丸線「今出川」駅1番出口から徒歩1分
対象 学生・一般
参加無料・要申し込み
参加申し込みフォームまたは往復ハガキ(住所・氏名・電話番号・Zoomで受講希望の場合はメールアドレスを明記)でお申し込みください。
<参加申し込みフォーム>
https://forms.office.com/r/gQDEMh6vKA
<往復ハガキのお申込み先>
〒602-8580 京都市上京区今出川通烏丸東入
同志社大学人文科学研究所
【締切】申し込みフォーム:7月6日(木)
往復ハガキ: 7月4日(火)必着

プログラム
第1部:個別発表[13:30 ~15:40]
13:30 開会・挨拶・趣旨説明
中山大将(釧路公立大学経済学部 准教授)
「慰霊碑が語ること語らないこと―日ソ戦争が生み出した樺太住民の故郷喪失」
下條尚志(神戸大学国際文化学研究科 准教授)
「小さな歴史」から「大きな歴史」を問い直す―ベトナム多民族混淆社会の一家族から考える20世紀」
王柳蘭(同志社大学グローバル地域文化学部 准教授)
「中国ムスリムの末裔・パンロン人たちの声―雲南・ミャンマー・タイを越えて」
村橋勲(静岡県立大学国際関係学部 助教)
「故郷とアイデンティティを希求する―ウガンダにおける南スーダン人の経験と語り」
第2部:総合討論・コメント[15:50 ~17:00]
司会 王柳蘭(同志社大学グローバル地域文化学部 准教授)
コメンテーター 山田孝子(京都大学名誉教授)
問い合わせ先 同志社大学人文科学研究所
TEL 075-251-3940 Email ji-jimbn@mail.doshisha.ac.jp